高専からの東工大編入のおはなし

H31年度東工大編入記 電通大と京都工繊についてもあるよ

勉強について

こんにちは。

今回は編入を志す高専生が必ずと言っていいほどぶち当たる

編入試験って何を勉強するの?」

「いつから勉強をすればいいの?」

という疑問のために、僕自身の経験を書いていきたいと思います。

編入試験には模試もなく、自分の立ち位置もわからないので正直手探り状態です。

でもそのような中でもある程度の”王道”というものはあるのではと思うので、努力のベクトルを誤らないようにしましょう。

 

この記事のコンテンツは以下の通り

 

勉強量&スケジュール

僕は高専に入ったときから受験についてある程度意識していたので他の人よりも早くから勉強を開始しました。といっても、1年の時からやってたとかではなく本格的に始めたのは4年の夏休みからです。

勉強時間の推移はこんな感じ。縦軸は時間[h]です。1日の最高勉強時間は8時間47分でした。

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勉強量はこんな感じです。

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ノートは計50冊消費しました。

内訳は

です。これとは別に過去問をルーズリーフ100枚分くらいやりました。

 

勉強の順番ですが、英語はとにかく早く、そして数学と物理は数学から始めることを強くおすすめします。

英語はとにかく読んだり聞いたりする時間が長いほどできるようになります。逆に言えば、受験前に必死になってもなかなかできるようになりません。毎日コツコツと隙間時間に英語の勉強時間を蓄積していってください。

物理は基本的な微分積分の知識はもちろんのこと、力学には微分方程式や重積分電磁気学には偏微分や重積分(+ベクトル解析)の知識が必要となります。従って、数学力がないまま物理をやると心が破壊されることとなります(経験済)。なので、これから勉強を始める人はぜひ数学の基礎を身に着けてから物理を始めてください。

 

あと、自分の勉強時間を記録することもモチベーションの維持にはとても有効です。僕はStudyPlusというアプリを使って勉強をしている時間を記録していました。このアプリは自分の勉強時間以外に、一緒に勉強している友達や他の高専の受験生の記録も見ることができるので、とても励みになります。編入学の勉強は割と孤独感にさいなまれがちだと思うので、このような”他の人も頑張ってるんだ”感は割と大事な気がします 。

 

参考書

数学

学校の問題集たち(2~4年) 2周

僕がまず手を付けたのは、学校の教科書についてくる問題集です。過去問を見た人はわかると思いますが、編入学試験の問題の難易度は定期テストとかの比ではありません。とにかく基礎を固めないと太刀打ちできないと思ったので、まずはこの問題集の応用問題を1周解いてガチの問題に備えました。1年の時の問題集はやっても意味がなさそうなので飛ばした。

 

・大学編入入試問題数学/徹底演習 3周

この本はとにかく問題数が多く、割と難しい問題が多いです。でもこの問題集を3周もすれば、数学は怖くなくなります。僕は5年になる前くらいまでに3周を終わらせ、割と過去問が解けるようになりました。

しかし、この問題集には弱点があり、それは

  • 回答が簡潔すぎるところがある
  • たまに答えが間違ってる(正誤表参照)
  • 東工大で頻出の”条件付き極値問題”の問題が貧弱

です。

ですが、問題はとても粒のそろった良問が多いと思うので、やる価値は大いにあります。

なお、条件付き極値問題についてはあとで超優秀な本を紹介します

 

編入数学過去問特訓 2周

過去問特訓はとにかく解説が丁寧です。

そして問題数もそれほど多くないので、短期間で周回することができます。この本のC(応用)問題はかなり難しいものが多いので自分の実力を測ることができます。だけど阪大の問題は難しすぎやしませんかね...

 

・大学編入のための数学問題集 1周

上の方で言っていた条件付き極地が超強い本。条件付き極地のためだけでも手に取る価値がある本。こんな風に解くことができるのかと本当に驚きました。この本で条件付き極地の演習をすれば、東工大の面倒な条件付き極地問題も解けます。東工大志望の人にはぜひ手に取っていただきたい一冊です。そしてこの本は割と新しいので最近の編入試験の問題が結構のっているのも加点ポイント。

 

編入線形代数徹底研究

電通大は線形写像が出るので対策せねばと思ってやった。でも電通大で出るような問題はあんまり無かったから意味があったかは微妙。

線形写像は上で紹介した大学編入のための数学問題集に割といい感じの問題と解説があるのに気づいたのでそっちをやると良いかも。僕は電通大終わった後にそれに気づいた。

 

物理

物理は黄色い本が多いです。編入の物理は微積を必ずと言っていいほど使わせてくるので、そのような問題を中心に勉強してました。

力学

・基礎物理学演習Ⅰ 3周

編入の定番の一つ。編入で物理がある人は必ず持ってる分厚い黄色い本。この1冊で力学・波動・熱力学をカバーすることができる。でも演習問題の解説が貧弱なうえに回答のミスも多い。次の演習力学と合わせて使うと良いんじゃないかな。

あとコリオリ力やコマの運動とかはたぶん出ないから飛ばしても大丈夫かもしれない。そしてたまにある頭おかしいほど計算が面倒な問題は飛ばしていいかも。僕は飛ばした。

 

・演習力学 3周

薄い方の黄色い本。力学範囲をカバーできます。基礎物理学演習に比べるとかなり丁寧な解説がのっている。編入試験で出る力学はほぼ基礎物理学演習Ⅰとこの本にのっている問題の類題でできている。個人的にかなりおすすめ。

 

電磁気学

電磁気学演習[新訂版] 3周

様々な電磁気の問題がのっている本。この本1冊を極めれば電磁気は怖いものがない。磁性体・誘電体・電磁波は物理の試験で出るような電磁気では出てないから飛ばしていいかも。でも誘電体はそれほど知識を必要としないのでやっても損はないと思う。東工大を受ける人は余裕があったら電磁波の変位電流とかも念のためやっておくといいと思う。

 

・基礎物理学演習Ⅱ 1.5周

電磁気学演習の問題を何となく覚えてしまったので代わりにやった。Ⅰと同様に演習問題の解説が貧弱。

 

・基礎電磁気学 2周

学校の教科書。これも電磁気学演習の問題を覚えてしまったので代わりにやった。教科書だけあって解説がしっかりしている。

 

熱力学

・スバラシク実力がつくと評判の熱力学キャンパス・ゼミ

電通大東工大が授業でやってない範囲のガチな熱力学を出してくるのでやった。確かにスバラシク実力が付いたと思う。熱力学の法則や考え方がとても丁寧に解説されているので独学には最適。基礎物理学演習をやる前にこの本をやるとすらすら解けるようになる。エントロピーまでやった。

 

・基礎物理学演習Ⅰ 3周

力学のところで説明した通り。熱力学の問題数が少ないような気もするがメジャーな問題は押さえることができる。

 

・熱・統計力学演習 1周

熱力を極めようと思ってやったけどあまり役には立たなかった。体積がl(小文字のL)で書かれているので、1と見分けがつかないところが多くていらいらした。

 

波動

・基礎物理学演習Ⅰ 3周

力学のところで説明した通り。波動はこの本だけでいいんじゃないかと思う。波動関数・音・光はこの本を周回すれば極められる。でも演習問題の回答には導出過程がほとんどない。力学の回答に比べておまけ感がすごい。

 

化学

電通大や京都工繊の人はやらなくても大丈夫ですが、東工大を受ける人は化学の勉強をほぼ独学でやらなければなりません。割ときついです。早いうちに化学の先生に相談して過去問を一緒に解いたりしてもらいましょう。

無機化学

・化学の新研究

まるで辞書のような高校用の参考書。なぜか大学範囲の内容も結構のっているので過去問でわからないことがあったら見てみるといいかも。

 

・化学重要問題集 2周

これも高校生のための本だけど最近の東工大は割と無機化学で高校範囲の問題を出す傾向にあるので、計算問題を中心にやっておくとよい。あと元素の性質とかも割と出やすい感があるので覚えておくと点が取れるかも。

 

有機化学

・マクマリー有機化学概説

東工大編入の体験談の中では定番の1冊です。全ページフルカラーでとにかく視覚的にわかりやすいです。しかし、演習問題は少なく、さらに答えは別売り(は?)という謎っぷりなのであくまで原理を理解するという使い方しかできません。あと値段が高い。

 

有機化学演習 3周

超有能。マクマリーを見ながらこの本を極めれば東工大有機化学を恐れる必要はなくなります。でも値段が高い。ヤフオクamazonでうまいこと安い古本を探しましょう。

いろいろ問題がのってますが、もちろん全部の問題をやる必要はありません。東工大の過去問を見ながら出そうなところの問題だけをつまみ食いしていきましょう。過去問を見てわかない反応があったら、化学の先生に反応の名前を教えてもらい、この本で演習しましょう。

 

英語

個人的に英語は机に向かってやるものではないと思っています。僕は主に通学電車の中で勉強していました。毎日行き返りで12分×2程度でしたが、むしろ短時間なので集中力が続いてよかったと思います。

 

・DUO3.0 3周

ド定番。ノーマル状態からこの本を3周すればTOEIC600点以上は取れるようになる。手っ取り早くたくさんの英単語を覚えられる。空き時間に読むのがおすすめ。

 

・速読英単語(基本編・上級編) 2周ずつ

単語力をつけつつ速読力を身に着けることができる良書。東工大を受験する人は上級編までやっておいたほうがいいと思う。1日2文くらいづつ進めると1か月で1周できるので、毎日読んでいるといつの間にか読解力と文法力がついている。ちなみに、上級編はある程度長文が読める程度の力がないと詰むので注意。

 

・Scientific American

学校の図書館においてあった英語の科学雑誌。本場の英語を読むことができる。実際にこの雑誌から引用されることもある。上記のものをやりこめばある程度読めると思うので、長文になれるために読んでみると良いと思う。

 

東京工業大学への英語(通称”青本”)

東工大入試の2週間前くらいにamazonで中古を70円くらいで買った。最新のものを買う必要はないと思う。東工大編入試験の英語は、普通の大学受験のものとかなり似ているので、時間感覚をつかむのにとても役立ちました。

 

あとがき

 想像以上に長くなってしまった。

これらの本は一気に買うと割とお金がかかるので、まずは図書館で借りてみたりして自分に合うか試してみると良いです。あと勉強をしているうちに、いつか必ず鬱な気分になることがあります。ですが、それが普通です。鬱になったらその日は諦めてしっかり休むようにしましょう。

次は各大学ごとの対策と、受験当日の体験談とかを書いていきたいと思います。

それでは。

 

9/30追記:文化祭の準備とかで忙しいので次の更新は10がつ半ばになりそう